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Oku-Noto Triennale 2017 / Theater Sumer

2017

シアターシュメール

Oku-Noto Triennale 2017 / Theater Sumer

旧飯田スメル館(石川)

珪藻土、映画館備品、照明器具、民具、音響機器、他

特殊照明:鈴木泰人
協力:能登燃焼器工業、旧飯田スメル館

Oku-Noto Triennale 2017 / Theater Sumer

撮影:木奥惠三

「奥能登国際芸術祭2017」
かつて映画館として町の賑わいを受け止めてきた空間に、静かに土が降り積もる。
《シアターシュメール》は、人びとの記憶や町の時間が、目に見えない層として重なってきたことに耳を澄ます試みである。照明に照らされ、少しずつ埋もれていく道具や看板は、過去を閉じ込めるのではなく、いまの時間と交わりながら新たな風景へと変わっていく。海底のような静けさのなかで、観る者は自らの記憶の深さにも触れるだろう。

「奥能登国際芸術祭2017」


 《シアターシュメール》は、珠洲市飯田町に残る旧映画館を舞台に、時間の堆積を空間的・身体的に経験させるインスタレーションである。1950年代から80年代にかけて地域の娯楽と交流の場であったこの建築は、人口減少とともに役割を終え、現在は静かな空白として町に佇んでいる。南条はこの場所に、約1200万年前の海底堆積物である珪藻土を用い、過去と現在が同時に進行する「時間の地層」を出現させた。

 天井から落下する土は、映画機材や照明、商店街の道具といった具体的な物質の上に積もり、かつての賑わいを直接的に再現することなく、その痕跡のみを残していく。光の点滅や明滅は、人の気配や記憶の断片を想起させるが、それらは常に不確かで、やがて土に覆われていく。このプロセスは、歴史を固定された過去としてではなく、現在を通過しながら更新され続けるものとして捉え直す視座を提示する。


 タイトルに含まれる「シュメール」は、長い時間を土中に埋もれていた最古の都市文明に由来する。発掘によって再び語り始めたその文明になぞらえ、本作は忘却と再生の循環を、観者自身の身体感覚に委ねる。ここで時間は説明されるものではなく、空間のなかで静かに「起こる」現象として立ち上がり、私たちを現実と非現実のあわいへと導いていく。

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