top of page

撮影:木奥惠三
2019
一雫の海
Setouchi Triennale2019
sea drop
旧沙弥島小中学校(香川)
砂、塩、塩田資料、照明機器、音響機器、他
特殊照明:鈴木泰人
協力:坂出市塩業資料館


撮影:木奥惠三
撮影:木奥惠三
瀬戸内国際芸術祭2019「一雫の海(Sea Drop)」について
かつて坂出に広がっていた塩田の記憶を、一滴の水と塩の結晶を通して立ち上げるインスタレーション。旧沙弥島小中学校の空間に、砂と水、光を用いて塩が生まれる時間の過程を再構成した。足元に眠る塩田の記憶と、長い年月をかけて形成される結晶の姿を重ねることで、土地に刻まれた時間と人の営みを静かに浮かび上がらせる。

瀬戸内国際芸術祭2019「一雫の海(Sea Drop)」について
本作《一雫の海》は、瀬戸内国際芸術祭2019において、坂出市・旧沙弥島小中学校を会場に発表されたインスタレーションであり、坂出の製塩史と土地に蓄積された時間の層を主題とする作品である。香川県はかつて「讃岐三白」と称され、塩は地域経済を支える重要な産業であった。坂出市では19世紀以降、大規模な塩田開発が進み、沙弥島においても明治期に塩田が築かれたが、製塩技術の変化と工業化により1971年に塩田は姿を消した。
本作は、こうした歴史的背景を踏まえ、現在は埋め立てによって失われた塩田の記憶を、空間体験として再構成する試みである。展示は旧校舎の構造を活かし、導入部では砂や塩、古写真によって、足元に眠る塩田の存在を想起させる。続く暗室空間では、砂による地形と滴下する水が組み合わされ、塩が生成される以前の「時間の流れ」が視覚化される。さらに奥の空間では、天井から落ちる水滴によって塩の鍾乳石が形成され、時間の堆積が物質として立ち現れる。
一滴の水が長い年月を経て結晶化する過程は、坂出という土地に蓄積された歴史そのものを象徴する。本作は、失われた風景を再現するのではなく、記憶と物質、時間と身体の関係を空間として体験させることで、土地と人間の関係を再考する試みである。
bottom of page












