
Photo: FIXER Photographic Studio
2023
senne 落山風藝術季2023
Amazing Pingting 2023
屏東海口港 看海美術館 Seaside Gallery(屏東、台湾)
鏡、映像、ランプ、椅子、他
4m×4.5m
2023落山風藝術季 -風的頻率- Luo Shan Feng Arts Festival
会期:2023年12月15日(金)から2024年2月25日(日)
テーマ:Frequency of The Wind
会場:屏東海口港 看海美術館 Seaside Gallery(屏東縣車城鄉海口路1-12號、台湾)
ウェブサイト
Artist:
[美術館展示] 大巻伸嗣、角文平、南条嘉毅、大岩オスカール、アルフレド&イザベル・アキリザン
[屋外展示] 東弘一郎、清水久和、詹維欣、禹禹藝術工作室、蔡宜婷、宋周研&吉田敦、安君實Pasulange Druluan、賴彥勳、鄭元東、邱雨玟
[待風樓 ] 吉井 宏、Alan Hong


Photo: FIXER Photographic Studio
Photo: FIXER Photographic Studio
落山風藝術季2023
台湾・屏東で開催された落山風藝術季2023にて、《senne》シリーズを展示した。senne はポーランド語で「眠る」「夢の中」を意味し、海辺の土地に沈殿する時間や記憶を鏡像的風景として捉える試みである。本作では、周辺海岸で採取した珊瑚礁を含む砂を作品に取り込み、土地の物質性を通して風景を内在化させている。映像は抽象化され、鑑賞者の記憶と重なり合うことで、夢のような風景として立ち現れる。

《senne》シリーズは、南条嘉毅が国内外の海辺の土地を巡りながら展開してきた、時間と風景の潜在層を扱う映像インスタレーションである。senne(眠る/夢の中)という語が示すように、本作における風景は、明確な地誌的記録ではなく、記憶の深層に沈殿する像として構成される。反復する水面や循環する流れは、時間が直線的に進行するものではなく、堆積と回帰を繰り返す運動であることを示唆している。
台湾・屏東での展示では、周辺海岸から採取された珊瑚礁を含む砂が作品内部に組み込まれ、映像と鏡という装置を通して土地の物質性が呼び込まれている。この構造は、批評家クレリア・チェルニックが論じる「2.5次元のパリンプセスト」という概念と響き合う。すなわち、本作において風景は、映像という平面、砂や鏡といった物質層、そして鑑賞者の身体が交差する中間的次元に立ち現れる。
作中に登場する九十歳の漁師が木造船を漕ぎ出す映像は、特定の土地を記録するものではなく、海と共に生きてきた人々の記憶を象徴的に凝縮した像として機能する。屏東の砂と異なる場所で撮影された映像が鏡の奥で重なり合うことで、場所の差異は抽象化され、鑑賞者それぞれの記憶と結びつく「夢の風景」へと転位する。《senne》は、土地・物質・記憶が交錯する場として、風景を固定された像から解放し、別の港や会場へと運ばれ続ける開かれた時間の層を提示している。




