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Nikko: A Sojourn in the Baths

2020

日光又たび湯

Nikko: A Sojourn in the Baths

ザ・リッツ・カールトン日光(栃木)

源泉の土、パネル、綿布、アクリル、他

800mm×1600mm

発注:ART FRONT GALLERY

Nikko: A Sojourn in the Baths

ザ・リッツ・カールトン日光のコミッションワークとして描かれた本作は、日光・奥湯元に連なる湯治場の歴史と、温泉が行楽として開かれていく近代以降の時間を重ね合わせた絵画作品である。江戸末期から明治期の浮世絵や写真資料に描かれた湯治の情景を参照し、三助や湯屋、屋台といった風俗をモチーフに構成した。画面には奥日光・湯ノ平湿原で採取した黒色のマンガンを用い、土地固有の物質性と記憶を織り込みながら、湯に浸かる身体と時間の循環を静かに描き出している。

《日光又たび湯》は、奥日光における湯治文化の歴史的変遷と、温泉が近代以降に娯楽・行楽として開かれていく過程を主題とする絵画作品である。日光は、東照宮に象徴される宗教的・政治的中心性を有する一方で、中禅寺湖や湯元を軸に、明治期以降は国際的なリゾート地としても発展してきた。本作は、そうした重層的な場所性に着目し、素朴な湯治場の風景と近代化の気配が交錯する時間を一つの画面に凝縮する試みとして位置づけられる。

制作にあたって南条は、明治期に刷られた浮世絵に描かれた温泉風俗や、北井一夫の写真集『湯治場』、戦前の絵葉書資料などを参照し、三助による背中流しや浴場外の屋台といった要素をモチーフとして取り入れている。

奥日光・湯元の湯ノ平湿原にて採取した黒色のマンガンを画材として用い、視覚表現に土地固有の物質性を導入している。制作過程および完成後に立ち上る温泉の匂いは、視覚を超えた感覚的経験として、湯治場に蓄積された時間と記憶の層を鑑賞者に想起させる。温泉をめぐる身体・風景・歴史の交差点を、絵画という静的媒体において再構成する実践である。

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