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 Setouchi Triennale 2022 / Peering into the Seabed

撮影:木奥惠三

2022

Peering into the Seabed

Setouchi Triennale 2022 / Peering into the Seabed

沙弥島の古い洋館(香川、沙弥島)

砂、水、鏡、椅子、映像、他


音楽:阿部海太郎
造形サポート:カミイケタクヤ
特殊照明:鈴木泰人
写真資料協力:坂出市立大橋記念図書館
撮影:木奥惠三

 Setouchi Triennale 2022 / Peering into the Seabed

撮影:木奥惠三

撮影:木奥惠三

瀬戸内国際芸術祭2022での古い洋館での展示。
瀬戸大橋で結ばれる与島五島は、縄文時代の海進により地続きの陸地が分断され、現在の島嶼景観が形成された。本作は、氷河期終焉後にゆっくりと成立した瀬戸内海の地史に着目し、砂、映像、水を用いたインスタレーションとして浜辺の一軒家内部に展開される。約一万年前の地形をジオラマ化し、水の流入によって海進から現代までの時間を可視化するとともに、島民へのインタビューを重ねることで、風景と人の営みが織り成す長い時間の連なりを空間的に遡るプロジェクトである。

瀬戸大橋によって連結される与島五島は、もとは連続した陸地であったが、完新世初頭における海進過程により低地が水没し、丘陵部が島嶼として分離した地域である。その後も気候変動や干拓・埋立といった人為的作用を受け、瀬戸内海の地形および景観は長期的かつ段階的に変容してきた。本作品は、最終氷期終焉以降に形成された瀬戸内海の地史的時間に着目し、砂、映像、可変的な水量を用いて、浜辺に建つ一軒家の内部空間にその過程を再構成するインスタレーションである。約一万年前、海水が存在しなかった瀬戸内の地形を古い洋館内にジオラマとして立ち上げ、実際に水を流入させることで、海進から現代に至る時間的推移を空間的・物理的に可視化する。さらに、島に暮らす住民への聞き取り調査を重ね、この風景の背後に横たわる長期的な地史と、島を拓いてきた一族の生活史を重層的に配置することで、鑑賞者が現在の景観を瀬戸内海の長大な時間構造の一断面として知覚する体験を生成している。



沙弥島では、ツバキやアケビなど春の海辺の植物に囲まれ、30年前から空き家だった神⼾の家具商の洋館に⼊ります。いきなり暗室で、正⾯に坂出の王越や五⾊台の四季がゆっくり投影されています。⾜元の床には⽔が流れ、瀬

⼾内海の波がゆっくり、しかもダイナミックに寄せては返す。ボックス状の

壁が所々点滅し、そこにある椅⼦やランプ、ピアノ、三⾯鏡、蓄⾳機などは

ここに残されていた物らしい。

逆から⾒ると床には⽯状の凸凹があり、これは櫃⽯島、岩⿊島、与島、沙

弥島などの島々だと気付く。そう、これはかつて⼈がサヌカイトを求めて中

国地⽅から四国に渡ってきた時代に、外海から海⽔が流れ⼊ってきて⽣まれ

た瀬⼾内の世界を表したジオラマだと分かってくるのです。圧倒的な⼒。⾳

楽は阿部海太郎さん、照明は鈴⽊泰⼈さん、装置はカミイケタクヤさん。も

ちろん作品は南条嘉毅さんで、彼らは昨年⼤⼈気を博したスズ・シアター・

ミュージアムのチームでもあり、じっくり⾒ていると私たちは壮⼤な叙事詩

の中にいるようです。

別室ではナウマン象の⻭の化⽯が3万年前の世界を思い起こさせてくれる

し、この場を掘ったら出てきたという⾙塚の⾙殻も、集団で漁労していた時

代をほうふつさせてくれるのです。三⾯鏡の向こうに⾒える⻄の浜には万葉

集にも出てくるハマユウが咲いています。レコード盤が回って⾳楽が流れて

くるのも⼤正、昭和のモダンな持ち主がこの沙弥の洋館に暮らした気分を伝

えてくれました。南条さんの名作と⾔ってよいでしょう。(北川フラム)

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