
2015
南条嘉毅個展 " 山頂 "
Solo Exhibition " Mountain tops "
switch point(東京)
協力:ユカリアート


南条嘉毅の個展「山頂」は、日本を代表する五つの高峰の頂から見渡した風景を主題とする。作家は実際に山を登り、その場で採取した土とアクリル絵具を用いて絵画を制作した。山頂という一点に立つことで、広大な風景は視界に収まりながらも、身体の記憶や時間の厚みを伴って立ち現れる。本展は、風景を眺める行為と、その場所に身を置く体験とのあいだを静かに往復する試みである。

南条嘉毅の個展「山頂」は、高所に立つ身体が風景と向き合う瞬間に生じる、知覚と精神の変化を主題としている。本展では、富士山、北岳、奥穂高岳、間ノ岳、槍ヶ岳という日本を代表する五つの高峰に実際に登り、その山頂から見渡した風景を、現地で採取した土とアクリル絵具を用いて制作した絵画作品が展示された。
山頂という極端に開かれた視点は、風景を支配的に見下ろす位置ではなく、むしろ人間の小ささを強く意識させる地点である。このあり方は、カスパー・ダーヴィト・フリードリッヒが描いた、背を向けて自然に立ち尽くす人物像に象徴されるような、崇高な自然との対峙と深く重なる。そこでは風景は対象として把握されるものではなく、思考や内省を誘発する場として立ち現れる。
南条の作品において、写真を基に構成される描画層は、視界に広がる大気や地形の連なりを示す一方、画面に直接定着された土は、その場所が蓄積してきた時間や重さを内包する物質として機能する。高所からの眺望は、単なる視覚的な遠景ではなく、登攀という身体的経験を経て初めて獲得される風景であり、見る行為そのものが試される地点でもある。
「山頂」は、フリードリッヒ以来のロマン主義的風景観を踏まえつつ、精神性を象徴に委ねるのではなく、身体と物質によって風景との距離を再構築する試みである。そこに立ち現れる風景は、外界の再現であると同時に、見る者自身の内面へと折り返される場でもある。












