
2018
南条嘉毅個展 " Wafting Time −漂う地層− "
Solo Exhibition " Wafting Time "
KYOTO ART HOSTEL kumagusuku(京都)
土、古い家具、照明器具、音響機器、他


Wafting Time ― 漂う地層(FEEL KYOTO 2018)
京都滞在を通して制作された本作は、現在の風景と、かつてそこに存在した平安京の姿を重ね合わせることで、土地に堆積した時間を可視化する試みである。現地の土や墨を用い、写真や資料をもとに描かれた画面には、わずか数メートル下に眠る過去の都市の気配が立ち現れる。南条嘉毅は、風景を単な る視覚像としてではなく、人の営みと記憶が折り重なった「時層」として描き出し、見る者を時間の奥行きへと導く。

《Wafting Time ― 漂う地層》について
本作は、2016年にFEEL KYOTOの招待作家として京都に滞在した南条嘉毅が、現地調査をもとに制作した絵画およびインスタレーション作品群である。南条は滞在中、平安京創生館を訪れ、地下わずか数メートルに平安京の遺構が眠るという京都特有の地層構造に着目した。一般に地層が2メートル堆積するには数万年を要するとされるが、京都では度重なる災害や都市の更新によって、わずか800〜900年で同程度の層が形成されている。そこには人為と自然が複雑に絡み合う、濃密な時間の集積が存在している。
南条はこの「圧縮された時間」を可視化するため、写真資料や歴史的調査をもとに、現地で採取した土や墨を用いて制作を行った。描かれるのは、現在の都市風景と、かつてそこに存在した平安京の建造物や歴史的情景が重ね合わされたイメージである。こうした手法は、単なる景観の再現ではなく、土地に堆積した記憶や時間を画面上に浮かび上がらせる試みであり、牧野裕二が指摘するように、空間的移動と同時に時間的移動をも伴う視覚体験を成立させている。
本展では、京都滞在中に制作された絵画3点に加え、再取材を経て制作された作品を含む計11点を展示し、南条の一貫した主題である「場所」「記憶」「時間の層」を、京都という歴史都市を舞台に明確化した。『Wafting Time ― 漂う地層』は、風景を媒介に、人間の営みが積層してきた時間そのものを可視化する試みである。






